『ICO』クリアしました。
- 出版社/メーカー: ソニー・コンピュータエンタテインメント
- 発売日: 2011/09/22
- メディア: Video Game
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ネタバレあります。ご了承のうえ。
『ICO』の事は昔から存在は知っていましたが、イマイチ手が出なかったのです。HDリマスター化されたので、これを良い機会としてプレイする事にしました。主にFPSとかアクションが大好きなので、謎解き系はあまり好まない僕が果たして没入出来るのか。
結果は二重丸。最高のボーイ・ミーツ・ガールでした。あらすじとしては「生贄として謎の塔に幽閉された少年イコが、そこで出会った少女と共に脱出を試みる」というものなのだけど、少年と少女の関係性が堪らなすぎる。イコは普通の人間より身体能力が高く、打たれ強かったりジャンプ力が高かったりするのだけど、少女は決してそうではない。だからイコは、彼女が登れない段差に手を貸したり、彼女が登る梯子を見守ってなければいけない。時折襲いくる「影」からも守らなければいけない。手を引いて、導いてあげなければいけない。
少女は儚げで、手を繋ぐと僅かな振動がコントローラーに伝わってくる。このゲームで重要視されている「手を繋ぐ」という行為を、あたかも現実にしているかのような演出で、何時の間にか僕の心もあの、不思議な塔に幽閉されていた。BGMに頼らない、環境音のみが聴覚に入ってくる心地よさ、そしてステータスなどのインターフェイスを廃した、徹底した自然の作り方で、プレイヤーは少年と少女、そして彼らを取り込む広大な塔に誘われる。クリアした際の虚脱感は、自分が現実から乖離していた事の何よりの証だったのか。
ストーリーは単純明快。絵本の中の童話と言ってもいい。言葉にすれば多くは必要ないだろう。しかしそれでいて奥行きがあるのは、少女が見せるふとした“しぐさ”が、物語に装飾を与えているからなのだろう。話を進めていく内に「少女は果たして、本当にこの塔から脱出したいのか?」「脱出したいのは、自分の“エゴ”なんじゃないか?」と、自問自答にさえ陥ってしまう。少女はそれに対して、多くは語らなかった。けれど少年は、無理にでも前に進むしかないのだ。
余韻を残すラストは、どう言葉にしていいのか解らない。魔女の攻撃により角を折られたイコは、脱出の際に乗った船から降りる時に、力なくバランスを崩していた。打たれ強いイコがそうなった事。これは彼が普通の人間になったことの表れではないだろうか。そうして、弱々しい歩みで砂浜を漂流した彼が見つけた少女。
きっと彼らはその後も大変な人生を送っているのだろう。けど二人でささやかな幸せを築いている。人間としての尊厳を得て。僕はプレイ後の余韻に、そんな気がした。
次は『ワンダと巨像』をやります。ストーリーの繋がりがあるらしいので楽しみです。イコと、少女ヨルダの物語には果たして続きがあるのでしょうか。楽しみだ。
勉強しないとあかんのに何やっているんだ俺は。
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