402号室の鏡像

あるいはその裏側

2014年に観た新作映画ベスト10

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。去年も散々映画三昧の日々を送っていまして、アニメ邦画洋画含めて152本、劇場で観た映画は18本でした。どうせなら全部152本総括したいところですが、けっこうめんどくさいので、去年の新作映画18本をベスト10として総括していきたいと思います。

まずは第十位から『フューリー』

 2014年最後の最後に映画館に滑り込んで見た映画。第二次世界大戦の絶望的な空気感が現れていて、架空の物語ながらも「戦争ってこうなんだ」と思わせる雰囲気作りが凄い。人殺しなんか微塵も出来なかった少年が、隊長の導きによりキリングマシーンになっていくことを通じて男になっていく成長物語であり、第二次世界大戦が「普通の人間でさえ人殺しにならなければならない」壮絶な戦いだったことを思わせる作品だった。ミリタリー描写的にも、MG42で米軍兵士がミンチにされる所とか、人間が戦車の中で焼け焦げていく凄惨な描写から逃げずに描いているところが印象的だった。ただ、やっぱり架空の歴史なので少し粗があることを想うと、完璧な映画ではなかった。でもそこがまた見易くていいんだけどね。

九位『ウルフ・オブ・ウォールストリート

 ディカプリオの悪者っぷりが超最高なんだなこれが!『ジャンゴ 繋がれざる者』とか『グレート・ギャツビー』でもでっぷりと肥えた金持ちの役が凄い似合っていたけど、この中のディカプリオはそれ以上ーに痛快な悪者を描いている。金を湯水のごとく浪費し、セックスドラッグアルコールやりまくりの超絶自由な人生で警察にマークされても知ったこっちゃ無しの豪遊人生。シットファックビッチ当たり前の、当然お子様見ちゃ駄目映画なんだけど、もう観ているだけで頭がクラクラしてくるような快楽物質が出ているのがわかるので、ストレス溜まった時はこいつを見よう。あるいは人生がねじ曲がるかもしれん。あと、マシュー・マコノヒーとディカプリオの鼻歌が最高。ンンンwwwwンンンwwwww

八位『楽園追放 Expelled from Paradise』

 なにを隠そう、アンジェラちゃんのおしり最高。……というのは置いておいて、素晴らしいフルCGアニメーション映画でした。肉体と地球という檻を捨て去り宇宙の電脳世界、即ち楽園に住む人類と、滅亡寸前の地球に住み続ける人類たち。しかし、楽園でも人間は人間のエゴに縛られたままで、じゃあ楽園って本当に楽園なのだろうか?という疑問を、主人公アンジェラとその相棒ディンゴを通して描き出していく。虚淵玄らしい哲学が出ているストーリーもさることながら。CGなのに人間らしく動くキャラクターや縦横無尽にスクリーンを駆け回るロボット機動が最高にカッコよくて上映時間中ずっと見どころだらけだった。みんなのアイドル伊織ちゃん……じゃなくて釘宮理恵の演技も凄くて、ハングリーさ溢れる美少女のバイタリティの凄さを肌で感じることが出来た。色々と観たあとはエネルギーが貰える映画だったと思う。おしり。

七位『劇場版 TIGER&BUNNY The Rising』

 タイバニ映画二作目。僕にとってこの映画が凄いと思ったのが、ヒーローの「その後」をきちんと描いている所。かつて偉大な活躍をした英雄だって、いつかは衰えて去らなくてはいけない時もある。カッコ悪い所もあるかもしれない。現役時代のように巧くはいかないかもしれない。それでも守るべき家族があるのならば、無理を押してでも頑張らなくてはならない。でも無理をして現実に直視してしまっている状態って、果たして自分の本心なんだろうか?現代社会に疲れている日本人の中年男性、特にお父さん世代の人には凄く響くと思うし、やっぱり去りゆくものとして「先輩から後輩へ」と受け継がれていく意思があるってのも素晴らしい作品だった。

六位『るろうに剣心 京都大火編』

 るろ剣実写化二作目。これの上映をきっかけに放映された一作目を見てるろ剣にド嵌りして漫画を全巻買い集めるほどの出来で、その後の『伝説の最期編』も良かったのだけど個人的にはこの『京都大火編』が凄くお気に入りだった。普通、今の日本の映画ではよく漫画や小説の実写化は「原作レイプ」と呼ばれてしまうことがあって地雷かと思っていたのだけど、まさしく時代劇ほどに堅苦しくもなく、アニメほど現実離れしていない「ちょうどいいギリギリのライン」を綱渡りのように表現している最高の実写化だったと思う。殺陣、キャスティング、役者の演技のほぼ全てがハマっていて、特に神木隆之助演ずる宗次朗はド嵌り役でびっくりした。

五位『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!
 
 アイマス初の映画化としてアイマスPの僕として観に行かないわけにはいかなかった。最初見始めた時いきなり始まる超厨二バトルにはビビったけど、本編でやりきれなかったことから、765プロのみんなが本編アニメを通して成長し、それをスクールの後輩たちに継承していくのが、テレビ版の続きとしてはっきりと描かれていてすごく感動した。キャラクター一人ひとりが自分の抱えた悩みや葛藤に決着を付けて、その経験があるから後輩にもうんと優しく、時には厳しくしてやれる。ぶつかり合ってきたからこそ分かり合える絆、その結果が、まさに765プロ一同の集大成ともいえる『M@STERPIECE』のフルライブ映像に集約されている。まさしく最高のアイマス映画だった。アイマス最高!

四位『GODZILLA
 
 長年待ちわびていた、ハリウッド版ゴジラが再起動するこの時を……!『モンスターズ』という怪獣系POV映画で名を馳せたギャレス・エドワーズ監督は、僕ら日本人が求めていた最高のゴジラを作ってくれた。断片的にゴジラの体を移すことで、敢えてゴジラの巨大さを映し出す演出や、過去作のオマージュ的イメージ、更には「米国の核実験はゴジラを殺す為だった」という陰謀論的ニュアンスを込めたシナリオまで最高過ぎて本編中は震えっぱなしだった。新しいイメージを取り入れつつ、過去のゴジラへのリスペクトも忘れないこの演出、僕にとって過去のゴジラもさながら、新しいゴジラ史の幕開けとしてこれ以上ないスタートだと感じている。続編が楽しみ。


3位『魔法少女まどか☆マギカ 新編叛逆の物語』

 テレビ版まどマギの完全続編と言うことで楽しみにしていたんだけど、こいつはやられた……!完全虚構世界というロジックには序盤から気付いていたんだけど、ハッピーエンドにしないこの悪辣さ、まさしく虚淵脚本の真髄である。個人的に神となったまどかが堕ち、世界の主導権を闇に染まったほむらが握ったワケだけど、個人的にこれは『スター・ウォーズ』なんじゃないかと思う。テレビ版からここまでがEP1.2.3だとしたら、例えばオビ・ワンがルークを見つけ出すように、ダークサイドに堕ちたほむらを斃す、あるいは助けるために、まどかが新しい魔法少女を見つける新しいまどマギサーガが始まるんじゃないかと密かに期待しているわたくしてあった。どうでしょう虚淵さん?

2位『インターステラー

 クリストファー・ノーランはなぜ傑作しか生み出さないのか。滅亡寸前の地球を救うために、幼き娘を残して父親は遥かな宇宙へと旅立つ。ウラシマ効果ブラックホールワームホール相対性理論事象の地平線(イベント・ホライゾン)などSF大好きっ子なら震えっぱなしの用語がガンガン物語に組み込まれているだけでなく、そこに「愛」という要素がまったく陳腐にならずに、しかもSF的に組み込まれている凄さよ。父と娘、親と子、恋人同士。全ての愛が宇宙という広大な世界の中で絡み合い、いつかその理由のない理論が、ひとつの糸で繋がってくるこの快感。未だ誰も到達したことのない宇宙の先を映像化した凄さもさながら、音響も全身を包み込む迫力で、あらゆるもの全てが積み重なってこの映画は構築されている。上映時間が些か長いながらも、その長さを全く感じない出来には脱帽するしかない。

1位『キャプテンアメリカ・ウインターソルジャー』

 序盤の貨物船強襲シーンからフル勃起しっぱなしだった。ヒーローという存在をミリタリーに親和させているだけでなく、米国的陰謀論と前作の繋がりさえも融合させ、なおかつキャプテン・アメリカが人間を超えた超人であるということをまざまざとアクションで描いており、アクション映画として今年度ここまで凄まじいものを見たことがないと言っても過言ではないほどの出来だった。ヴィランであるウインター・ソルジャーの悲壮感を交えた狂気もまたキャップとのバトルに色を添えており、超人VS超人がいかに凄いバトルなのかを壮大なスケールで表現していて、自分の中にあるありとあらゆるツボを突く作品で、もう声が出ないほどの感動だった。文句なしの本年度ベスト映画。

 と、言う訳で去年のベスト映画を偏見と主観のみで書いてみたということであります。次の更新の時には去年読んだ本ベスト10をやりますのでよろしくおねがいします。