402号室の鏡像

あるいはその裏側

『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』セカンドシーズン先行上映に行って来たのだけど

あまりに最高だったのでこの思いを箇条書きにしていこうと思う。

スペシャルエディションという事でおそらくテレビではカットされる部分がめっちゃ入ってて美味しかった。
イリヤ、キャスター関連の物語がふんだんに盛り込まれてた。
・ここでキャスターの前マスターの話を盛り込んでくるのか!しれっと新設定追加してくるな!
・前マスター(名前は忘れた)は人間としてはクズだけど魔術師としてはいつも通り僕らにはおなじみな感覚で安心した。魔術の求道の為には人命さえ厭わないタイプ。
・人間の命を魔術の触媒にして科学的な工房を作るという、現代解釈的な魔術描写が個人的にツボ。魔術師はあれくらいキチガイな方がむしろ普通なんですよ。
・メディアさんは子供にやさしい。
・というか子供にやさしいのもあるけど、何よりキャスターにとって簡単な魔術が、あの魔術師が躍起になって人命まで犠牲にしていると言う汚いやり方でやっているのが見ていられなかったのだろう。
・要するにあのやり方は「美しくない」
・魔術師のみなさんは時計塔全員でキャスターにやさしくしてあげれば、もっとはやめに根源の渦に辿り着けると思うんだ。
・案の定ブッ殺される前マスター。だけど前マスターはクズだから、ランサーのマスターにキャスター抹殺命令をおねがいしていた。
・それでキャスターはランサーに襲撃を受けるんだけど、この傷のせいでボロボロになって、葛木先生に出会うわけだ。まさかそんな裏設定がしれっとあるとは
・んで、新OPではランサーがキャスターを追いかける構図になってるんだけど、今のシーンと繋がるわけです。うまいなー。ほんと
・Zeroから見た人に配慮してか、イリヤが如何にして切嗣や士朗に対しての怒りを燃やしていたかというのが追加されてた。
・具体的にはアハト翁に刷り込まれた時の描写とか。おそらくアハト翁の言葉なのだけど、描写として黒化アイリとなっていたのがすげえ巧いというかきつい。
・アインツベルンのホムンクルスが消耗品として描写されて、その果ての悲願にイリヤが居て、そのために苦痛さえも厭わない魔術師の異常性がイリヤの小さな背中に背負わされていたかと思うと。
・てか魔術回路を身体に仕込むのって一回一回全身を切開しないといけないわけ……
・「バーサーカーは強いね」のシーンは完璧
・てかそれに至るまでバーサーカーを巧く操れなかったイリヤ。頑なに魔術を流し込むだけじゃ操れなかった強靭な英霊がデレたのが、彼女を守る為というのがまたね。
・狼に襲われたイリヤの叫び声が露骨にリアルで怖くなったり。
・セラリズがかわいい。特に帽子を外したセラの可愛さはSランク宝具。
・腕が取れるリズに、斬首されるセラ。絶対カットされるだろうけど、正直興奮した。
・ワカメは相変わらずワカメで安心した。
イリヤを守る為に防戦一方に成らざるを得ないバーサーカーの戦いっぷりに感動。自分に喰らっているだけでなく、イリヤに向けられて放たれた宝具を弾いたり掴んだりしているのが細かい。
・天の鎖で拘束されて、ついに力尽きたバーサーカーイリヤにも剣が突きつけられて、ついに終わりかと思った瞬間にバーサーカー復活。
・まさかの展開にギルっちもガチでびっくり。イリヤが力尽きるのが後ゼロコンマ一秒遅ければ、ギルを殺せてたかもしれない。
・ギルの「最後に自分の神話を越えたか」というセリフは、奈須きのこが書いたセリフらしいが、流石原作者、バーサーカーの凄さとギルの器の大きさを同時に描写してる。
・あと、士朗がイリヤが襲われている姿を見て飛び出していく所を、凛が捕まえるところが凄い良かった。叫び出す士朗の口を必死で押さえて止めると言うシーン。
・「頭では分かっているが体が動き出してしまう士朗」「その士朗の性格を分かって懸命に止める凛」凛が士朗の性格を分かっていないと出来ないと思う。
・多分「頼むから飛び出さないでよね……」とか身構えていたから捕まえられたんだろうけど。
・それでも止まらないのが衛宮士朗という男である。あれだけ忠告されても飛び出さざるを得ないのは、それが彼の生きざまだからだろう。

 まぁ、これ以上にも細かい所も沢山あるけど、簡潔に言うなら「原作ファンにも新規ファンにも両方満足してもらえるような」と言う物語が関係者各位から出ていたのが印象的だった。原作ファンでも楽しめるような追加要素に、キャラの真髄を理解しての描写、アニメだけの人にもキャラの深みを堪能してもらう為の掘り下げエピソード。その二つを両立した上で「衛宮士朗」と言う少年を書くとして、この物語を作り上げていくという製作側の気概が感じられて嬉しかった。士朗というキャラは内面が複雑なだけであって、原作をやっていても全てを理解することは難しい。三浦監督は原作者の奈須きのこと何度も何度も繰り返し意見を重ねて士朗という少年のかたちを作り上げていったと言っており、そんな士朗が今後どういう選択を取り、どう自らの正義に向き合っていくのか。これだけキャラクターを人間として愛してくれているスタッフならば、完璧な終着点に導いてくれるのは間違いないだろう。

 それだけ、今後の期待が膨らんでいくことは間違いない。来週の本放送が一層楽しみに成る先行上映会だった。