402号室の鏡像

あるいはその裏側

『ランボー 怒りのアフガン』を観ました。

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シルヴェスター・スタローン,リチャード・クレンナ,マーク・デ・ヨング,ピーター・マクドナルド

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 『ランボー 怒りのアフガン』を観ました。
 
 ベトナム戦争後の帰還兵を描いた風刺的映画として若きシルベスター・スタローンを『ロッキー』に次ぐスターにのし上げた作品として有名だけれど、二作目以降人気に乗じた娯楽路線に走ってしまって、一作目の絶賛とは裏腹、世間的にはあまりよろしくない評価を頂いてしまっているという若干不憫なシリーズ物。2008年に公開された『最後の戦場』で原点回帰的なテーマでかなり高評価を得たのだけれど、一作目と四作目の間の『怒りの脱出』『怒りのアフガン』はどうにも世間的には低評価……だったらしい。『怒りのアフガン』以外は全部見ていたのだけど、今作だけ鑑賞する機会が得られなくて、先日テレビでやっていたものを録画して見た。

 それでも個人的には二作目も大好きで、確かに一作目の社会風刺的側面は薄れてしまったものの「裸でM60軽機関銃を叫びながら撃ちまくる筋肉マッチョ」を描いた映像的インパクトが世の中に与えた影響は滅茶苦茶デカイのではないかと個人的には思っていて*1、他にもキリングマシンとして育てられてしまったランボーが戦場にて愛を知るという点でも物語に十分面白見はあるし、娯楽性が高まったということがイコール作品の魅力低減につながるとは到底思えなかった訳で、結構楽しんでいた。

 んで今日『怒りのアフガン』を見た。相変わらずストーリー的にはひっそりと一目を忍んで暮らしていたランボーをどこからともなく現れたトラウトマン大佐が「アフガニスタンが大変だからやっぱ戻ってきてくれへんか」と元部下のランボーに勧誘する流れ。当のランボーは「もう俺の戦争は終わったんですよ」と言いつつも、戦いへの情熱は未だ燻っているという二律背反な状況。だけれどトラウトマン大佐の元で兵士として戦う自分を拒絶して、大佐もそんな彼を受け入れて帰っていく。と思いきやそうは問屋は下ろさない訳で、任務の為にアフガニスタンに向かったトラウトマン大佐が現地のソ連兵に捕虜にされてしまった。その事実を知った途端ランボーは掌がえしで助けにいく、という話の流れ。

 実際にあまりにもランボーの心変わりが早くて正直戸惑ったのだけれど、よくよく考えると行動原理としては一貫している。ランボーは兵士として戦う自分を拒絶していただけであって、トラウトマン大佐という「友人」を助けにいく為の戦いなら幾らだって構わないのだと考えると物凄く納得がいく。ベトナムの時はただ言われるがまま訓練にてプログラムされたキリングマシーンとして戦った挙句自己を喪失してしまったランボーは、再び戦場に戻り、誰かの指示を受けて戦った挙句昔の自分に戻る事が怖かったのだと思う。だけれど、トラウトマン大佐は恩師であり恩人であり、そして無二の友人だ。自己の判断で、自己の正義の元戦うのならば、ランボーは何処でだって如何無くその力を行使出来るのだと思う。実際、ただの戦闘機械ではなく子供に優しくしたり、現地兵との信頼を築いたりと随分と人間らしくなっていて、そこが過去のランボーとの違いなんだなと、明確に表現されていた気がする。多分それは『最後の戦場』でも同じで、彼は彼自身の正義と善悪感に則って戦う正しさを見いだせるようになったのではないかなと個人的には思う。

 アクション的な続編としても、AKや機関銃など銃火器で無双するのは当たり前に、ランボーらしく闇に紛れてナイフやアーチェリーで連続ステルスキルで敵兵を恐怖に陥れるシチュエーションが存分に描かれていたのは凄く良かった。ドンパチ映画的な娯楽感と、人間的な成長が見られた三作目として、もっと早く見ておけばよかったと思わざるを得ない。*2

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ランボー 予告編

80年代映画だけれど古さを感じさせない良作なので、興味がある人は一作目だけでも観てみる事をお勧めします。絶対損はしない。

*1:メタルギアソリッド3』でスネークにM60を撃たせるとおんなじ事をやるんですよ

*2:個人的に、シュワルツェネッガーとスタローンは銃とかより裸でナイフ持たせた方が絶対強い