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402号室の鏡像

あるいはその裏側

福島第一原発観光地化計画を観てきました

福島第一原発観光地化計画 思想地図β vol.4-2

福島第一原発観光地化計画 思想地図β vol.4-2

 ゲンロンカフェで開催されていた福島第一原発観光地化計画に行ってきました。

 ここで正直に述べてしまうと、僕は福島で起こった原発事故に対して関心自体はあったものの、自分から情報を仕入れたり検索したりという事は殆どしていなかった。3/11に起こった地震をリアルタイムで体験して、その後の世紀末感覚を肌で体験しておいて尚、時間が経ってその感覚が麻痺してしまったのも原因のひとつであるのかもしれない。世間がこの原発事故を受けて「反原発」「原発継続」の議論をしていることに対し、決して何も考えなかった訳ではない。原発の危険性を受けて現地住民が東京電力を信頼し、その結果裏切られて絶望的な被害を受けた事を考えれば、原発不要論を推し進める方向に世間が傾くのも至極当たり前だし、しかし今まで原子力の恩恵を受けてきたことを忘れてただ反対するのはあまりに無責任すぎる考え方だと思う。ただ、僕はそれに対してどうしても答えを出す事を出来なかった。無知ゆえでもあるが、反論や意見するにあたって、十分な代案を用意するほど良い考えが思いつかなかったというのが本音だ。
 そこで知ったのが「福島第一原発観光地化計画」だった。ひと目観て「ふざけているのか」と思ってしまうような題名で、事実そう思って攻撃している人もいる。
 僕が何故この企画を知ったのかというと、企画を主導しているのが、僕が好んで批評などの著作を読んでいる東浩紀氏だったからだ。『動物化するポストモダン』『ゲーム的リアリズムの誕生』などは近年のアニメ、漫画、ゲームなどと社会情勢を巧くミキシングした批評書であり、サブカルチャーには関心のある僕は彼の著作を興味深く拝読していた。そんな彼は3.11後、原発関連について精力的に活動しており、チェルノブイリ原発事故跡地を取材したりもしていたようである。
 いわゆる、観光地化の目的というのは「事故現場の可視化」という側面があるらしい。事故直後こそ我々国民にメディアで報道されて可視化されていたと言えるだろう原発事故現場ではあるが、時を経てしまった今では、あの場所が今どうなっているか知るすべは、我々国民の情報収集能力では些か限界がある。ニュースで汚染水処理の情報なども流れているが、それがどれだけマズい事態なのか、それとも大丈夫なのかのガイドラインは僕らには解らない。結局は僕らにとってあの場所はブラックボックスと化してしまっており、もしあそこで何かがまた起こっても、隠されてしまうのではないかという不安が国民から出てきても仕方がないものなのかもしれない。
 チェルノブイリ原発事故現場では、未だ確立こそしていないもの、事故現場のホットスポットや危険な場所を避けながら各所を案内してくれるツアーなどが観光客向けに開催されている。おそらくこういった動きを受けて企画された計画が福島第一原発観光地化計画なのだろう。原発事故現場から少しだけ離れたビジターセンターで事前学習をし、そこから除染作業中現場を見学するという一連の流れを具体的に解説した模型や、それを受けた上で見る現代的コラージュアート。
 誰もが観て、誰もが訪れる「開示された」状態での被災地と原発事故現場の記憶としての保存。エンターテイメントや未だ計画の全体像を読みこめてはいないが、僕としてはこれに代わる具体的な代案は未だ存在しないと思う。東京オリンピック開催を控え、世界に向けて日本という国の現状を発信していかなければいけない。無知蒙昧でいた自分への言葉として受け止められ、具体的な形をとって考えていかなければならない問題として福島原発の問題は存在しているが、僕にとって福島第一原発観光地化計画展というのは、これから先、日本人として歩んで行く為の大きな指針となった気がする。

チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1

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そう言えばゲンロンカフェの本棚に『Call of Duty 4: Modern Warfare』があったのが印象的だった。. チェルノブイリ潜入狙撃ミッションの廃虚描写が素晴らしいよね。

コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア

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