402号室の鏡像

あるいはその裏側

バカっぽいけどちゃんとヒーロー『シャザム!/Shazam!』感想

 突然ですが、執筆の練習と文章を書く習慣をつけたいということで、週に一回映画のレビューをしようと思います。ここ最近観た映画の感想とか記録とか、大体ツイッターに書いているのだけど、どうせ長文になることとか、ログが流れるくらいならブログとして残した方がまだ生産的だなと思ったのでNoteで書いてみることにします。同じものを個人ブログにも書こうと思うので、興味がある方はそっちのほうもよろしくお願いします。

思春期を迎えたビリーは、魔術師にヒーローの才能を見いだされ、世界の救世主に選ばれる。「シャザム!」という言葉を唱えると、S=ソロモンの知力、H=ヘラクレスの強さ、A=アトラスのスタミナなど六つのパワーを持つ筋骨隆々のヒーローに変身する。だが、ビリー(ザカリー・リーヴァイ)の心は少年のままだった――  シネマトゥデイ

解説・あらすじ - シャザム! - 作品 - Yahoo!映画

 菅田将暉が吹き替え、吹き替え監修を実写映画の『銀魂』シリーズや『勇者ヨシヒコ』シリーズで有名な福田雄一監督が務めるということで、良い意味でも悪い意味でも話題になったアメコミ映画。
 
 興味があったので吹き替えで観てみたけど、結論から言うと、コメディテイストに振り切った台詞回しが滅茶苦茶面白くて、吹き替えで観たのは大正解。菅田将暉の吹き替えがシャザムに合っていたか……というと首を傾げざるを得ないけど、少なくも吹き替えの台詞回しのセンスとかは、原作の文脈を汲み取りながら、日本の若者的言葉使いに合っていたので、吹き替えで観ても全然楽しめた。シャザムを取り巻くキャラクターを子安武人杉田智和緒方恵美阪口大助平野綾という有名声優メンツが並んでいるので、アニメ好きにもかなりお勧めできる映画でした。
 
 DCエクステンデット・ユニバース系列の作品ということで、バットマンやスーパーマンの存在が世間に定着している世界観なので、その中で新しく生まれたヒーロー「シャザム」がどうやって世間に受け入れられていくのがというのが個人的には魅力的な部分。

「14歳の少年が、突然でスーパーヒーロー(見た目はおっさん)に変身できるようになってしまったら?」ということで、中学生らしいノリでYouTubeに変身能力の様子をアップして再生数を稼いだりとか、街中でファンと自撮りしまくったりとか、振る舞いは等身大の中学生なのに、変身後の姿がムキムキのおっさんという違和感も相まって、何をしてても正直面白い。幼い事に母親と生き別れ、天涯孤独に過ごしてきたシニカルな少年ビリーがシャザムの力を得た事をきっかけに、友人や新しい家族との関係を築きあげていく様も心温まり、それが戦う理由になっていく流れも個人的には〇。

 かと言ってコメディだけでなく、アメコミヒーロー作品としての文脈もきちんと押さえている。特に良い子であるわけでも正義漢であるわけでもなく、どちらかというと素行不良な少年だったビリーが、偶然シャザムの力を手に入れた一方で、資格はあったものの闇の力に魅入られたせいで、シャザムの力を得られなかったDr.サデウス・シヴァナ。基本的にバトルの中でも茶々を入れながらのコメディをやりながらも、選ばれたものと選ばれなかったものとして、対照的なヒーローとヴィランの対決を描くことでしっかりアメコミヒーロー作品をやっているのが印象的だった。

 DCエクステンデット・ユニバースは『マン・オブ・スティール』から追っているのだけど、やたらとシリアスな割には話のまとめ方が下手……という印象が強かったのだけど、『アクアマン』辺りからかなりコメディとシリアスの塩梅が巧くなってた印象があり、『シャザム』の完成度も高いおかげで今度も期待できそう。もちろん単独でも楽しめる映画なので、「アメコミ映画はよくわからない……」という人にもオススメできる作品です。

シャザム!(吹替版)

シャザム!(吹替版)

 個人的に、菅田将暉の配役が合っていないだけで彼自身には何も非はないと思うので、もう少し役に配慮したほうが制作陣も無用な炎上は避けられたと思うんですよね……緒方恵美さんを始めとするベテラン声優たちの演技は最高なので、吹き替えは全然おすすめです。