402号室の鏡像

あるいはその裏側

『ランボー 怒りのアフガン』を観ました。

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 『ランボー 怒りのアフガン』を観ました。
 
 ベトナム戦争後の帰還兵を描いた風刺的映画として若きシルベスター・スタローンを『ロッキー』に次ぐスターにのし上げた作品として有名だけれど、二作目以降人気に乗じた娯楽路線に走ってしまって、一作目の絶賛とは裏腹、世間的にはあまりよろしくない評価を頂いてしまっているという若干不憫なシリーズ物。2008年に公開された『最後の戦場』で原点回帰的なテーマでかなり高評価を得たのだけれど、一作目と四作目の間の『怒りの脱出』『怒りのアフガン』はどうにも世間的には低評価……だったらしい。『怒りのアフガン』以外は全部見ていたのだけど、今作だけ鑑賞する機会が得られなくて、先日テレビでやっていたものを録画して見た。

 それでも個人的には二作目も大好きで、確かに一作目の社会風刺的側面は薄れてしまったものの「裸でM60軽機関銃を叫びながら撃ちまくる筋肉マッチョ」を描いた映像的インパクトが世の中に与えた影響は滅茶苦茶デカイのではないかと個人的には思っていて*1、他にもキリングマシンとして育てられてしまったランボーが戦場にて愛を知るという点でも物語に十分面白見はあるし、娯楽性が高まったということがイコール作品の魅力低減につながるとは到底思えなかった訳で、結構楽しんでいた。

 んで今日『怒りのアフガン』を見た。相変わらずストーリー的にはひっそりと一目を忍んで暮らしていたランボーをどこからともなく現れたトラウトマン大佐が「アフガニスタンが大変だからやっぱ戻ってきてくれへんか」と元部下のランボーに勧誘する流れ。当のランボーは「もう俺の戦争は終わったんですよ」と言いつつも、戦いへの情熱は未だ燻っているという二律背反な状況。だけれどトラウトマン大佐の元で兵士として戦う自分を拒絶して、大佐もそんな彼を受け入れて帰っていく。と思いきやそうは問屋は下ろさない訳で、任務の為にアフガニスタンに向かったトラウトマン大佐が現地のソ連兵に捕虜にされてしまった。その事実を知った途端ランボーは掌がえしで助けにいく、という話の流れ。

 実際にあまりにもランボーの心変わりが早くて正直戸惑ったのだけれど、よくよく考えると行動原理としては一貫している。ランボーは兵士として戦う自分を拒絶していただけであって、トラウトマン大佐という「友人」を助けにいく為の戦いなら幾らだって構わないのだと考えると物凄く納得がいく。ベトナムの時はただ言われるがまま訓練にてプログラムされたキリングマシーンとして戦った挙句自己を喪失してしまったランボーは、再び戦場に戻り、誰かの指示を受けて戦った挙句昔の自分に戻る事が怖かったのだと思う。だけれど、トラウトマン大佐は恩師であり恩人であり、そして無二の友人だ。自己の判断で、自己の正義の元戦うのならば、ランボーは何処でだって如何無くその力を行使出来るのだと思う。実際、ただの戦闘機械ではなく子供に優しくしたり、現地兵との信頼を築いたりと随分と人間らしくなっていて、そこが過去のランボーとの違いなんだなと、明確に表現されていた気がする。多分それは『最後の戦場』でも同じで、彼は彼自身の正義と善悪感に則って戦う正しさを見いだせるようになったのではないかなと個人的には思う。

 アクション的な続編としても、AKや機関銃など銃火器で無双するのは当たり前に、ランボーらしく闇に紛れてナイフやアーチェリーで連続ステルスキルで敵兵を恐怖に陥れるシチュエーションが存分に描かれていたのは凄く良かった。ドンパチ映画的な娯楽感と、人間的な成長が見られた三作目として、もっと早く見ておけばよかったと思わざるを得ない。*2

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ランボー 予告編

80年代映画だけれど古さを感じさせない良作なので、興味がある人は一作目だけでも観てみる事をお勧めします。絶対損はしない。

*1:メタルギアソリッド3』でスネークにM60を撃たせるとおんなじ事をやるんですよ

*2:個人的に、シュワルツェネッガーとスタローンは銃とかより裸でナイフ持たせた方が絶対強い

2015年に読んだオススメ本

今年読んだ中で面白かった小説をベスト5形式で振り返ってみたい。是非皆さんにも読んでみて欲しいので、ネタバレは含まずに書きます。一応、今年出たというより今年に読んだ本なので、古い本もあるけどご容赦を。

2015年に読んだ本ベスト5

1 チャーリー・ヒューマン『鋼鉄の黙示録』

鋼鉄の黙示録 (創元SF文庫)

鋼鉄の黙示録 (創元SF文庫)

 南アフリカを舞台にナード的気質の主人公がオカルト世界にズブズブと嵌り込んでいく内にアメコミ的クリーチャーや政府極秘機関ひいては自分の出生から宇宙的規模の話に広がっていくのがあまりに最高過ぎて脳汁が止まらなかった。クトゥルーとかエヴァを連想させる世界観の広がり方とか、ゾンビ相手にショットガンぶっ放して行くボンクラ感とか、とにかく最高に最高だったので、超伝奇オカルトバトルとかそういうの好きな人は絶対全員読んでくれと言う話。

2 吉上亮『パンツァークラウンフェイセズ

 大規模災害から復興した日本に出来た商業実験都市イーヘヴンで繰り広げられる、サイバーパンク強化外骨格同士のバトルに加え民間軍事企業や傭兵が跋扈していく様子がカッコイイし、翻訳風味の小気味いい文体で心地よいルビ振りをしてくれてるのが快感な小説。SF界隈にて伊藤計劃以後の文脈で語られがちな小説でAmazonレビューは不当に低くなりがちだけどその実この物語の真髄は近未来仮面ライダーである。特撮知識があれば所々にニヤリとさせられる演出や、そもそも「同じコンセプトで開発された兄弟機同士の一騎打ち」のようなベタなシチュエーションバトルが好きな人にとっては絶対お勧め。

3 藤原祐レジンキャストミルク

本当に面白い本というのは最初の一ページで凄さが分かるというけれど、この本がその例に該当すると思う。のっけから正直訳分からん厨二ルビ振りワードの全開で脳味噌を掻き回されていく感覚でおそらく読者がふるいにかけられるのだろうけど、僕の場合あの強烈な世界観に魅せられてしまって、すぐに読み終わってしまった。日常のすぐ裏側に異常が忍びよっているゼロ年代現代伝奇風味の味わいにきちんとギャルゲやラノベの文脈でギャグも挿入されているのが本当に巧くてまさしく、非日常と日常の塩梅が絶妙。だからこそバトルシーンが映えるし、その日常を失いたくない/失った時の絶望感というのがひとしお訴えかけてくるそんな感覚。良い年して厨二病をこじらせてしまった諸君、この小説を読め。

4 らきるち『絶深海のソラリス

 深海×異能力×パニックホラーをラノベで実現させるとは滅茶苦茶凄い作品だと思う。本来深海を舞台にしたモンスターパニックと言ったらハリウッドのB級が定番だろうし、ありふれ過ぎて話題にもならないだろうけど、それをラノベ的美少女と絡ませるのが妙案というか、その発想があったか!という感覚でニヤリとさせられた。序盤でラノベ的展開でフラグを立てまくったヒロイン達が後半深海モンスターに襲撃されて酷い目に遭いながらも、持ち前の異能で撃退していく様も熱いし、それすらも適わない展開になってくるとほんとここからどうなるんだ……と、まさしく先の読めず、一気に読み終えてしまった記憶が強い。個人的にオチが最高なのでぜひ。

5 辻村深月『ハケンアニメ!』

ハケンアニメ!

ハケンアニメ!

 「正直、自分の好きだった辻村深月は終わった」と思っていた時が僕にはあった。ジュブナイル感の強かった作風から恋愛や感動にシフトした作風になってから、あまり好きではなくなった作者で、この作品についても周りが話題にしていなかったりだとか、自分の好きなクリエイターの創作秘話みたいな話じゃなかったりしたら、手に取る事は無かったと思う。(あと当時『SHIROBAKO』というアニメが放映してたこともあった)だけれどこの作品を読んでから辻村深月についての評価は一変した。アニメ製作にかける情熱、世間に理解されないながらもオタクであり続けることのプライドや誇り、ビジネスとしてのアニメ製作、そして地元密着型のタイアップ……など、昨今のアニメ事情を汲んだクリエイター魂に、大人同士の深い人間関係など、漫画的ながらもリアルな人間模様が書いてあって凄く面白かった。自分の中で辻村深月は終わったのではなく、思春期から大人へと、純粋に作風が成長したのだと、素直に認められるようになったきっかけにもなる素晴らしい小説だった。

本当はお勧め映画でも書きたいのだけど、少し時間がないのでこの辺りで……それではみなさん、よいお年を。

2015年を振り返って

 色んな事に挑戦し、色んな事に挫折して、苦しみ抜きながらもなんとかの着地を得た一年だった。

 なりたいものにはなれなかったし、自分にその素質や実力が足りない事が分かってしまったのが辛いのだけど、これから先人生を生きていく中で、本当になりたいものになる為に、今やらなければならない事は何かということを少しずつ見極めながら、来年から社会人やっていきたいと思う。多分、辛いことやきつい事も多い2016年になるとは思うけれど、どうにかして足掻いていきたいな、とか思う。
 
 ただ、つらいことだけじゃなくて、ツイッターとかで仲良くなった人と実際に遊びに行ったり飲んだりして、布教したりされたりで作品の幅とか人間関係の広がりを得た年でもあったので、そういう意味でも色んな人と関わり合って行きたい。その為にツイッターとかブログとか、SNS的な繋がりもこれまで以上に大事にしていきたい。もっと創作仲間とかも欲しいしね。

 抱負としては
・作家デビュー(前提として、その為に賞やら投稿何やらで一年で三本以上長編を書きあげたい)
同人活動、同人イベントデビュー(アイマスやら何やらで、好きなことで同人イベントに出てみたい。その為の英気を去年は失っていたので、今年から生き返ったつもりでやってみたい)
・更に同人ショップに委託できるようなペースとクオリティを目指したい。
・小説投稿サイトにコンスタントに更新出来るような、連載形式の作品も書いてみたい。

 こんな所ですかね。社会人になって時間は削れど、それで夢を妥協してしまっては元も子も無いので、あくまで二十代のうちに物書きデビューという野望だけは忘れずに生きていきたい。

「遠い昔、遥か彼方の銀河系で……」『スター・ウォーズ フォースの覚醒』感想

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 映画を超えた史上空前のエンターテイメント『スター・ウォーズ』、その新たなる3部作の第一弾。
 ジョージ・ルーカススティーブン・スピルバーグ―ハリウッドが生んだ偉大なる巨星たちの才能を継ぐ、J.J.エイブラムスの「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」がベールを脱ぐ。はるか彼方の銀河系で繰り広げられる、家族の愛と喪失の壮大な物語。その歴史は、新たなるヒロイン、新たなる仲間たちによって、≪新たなる3部作≫として、真新しい1ページを開く。
家族を知らず砂漠の惑星で孤独に生きるヒロイン、レイの運命が、新型ドロイドのBB-8、戦うことに疑問を抱く兵士フィン、そして、フォースの暗黒面の担い手、カイロ・レンらと交わる時、銀河の命運を賭けた戦いの渦中へと導かれる。
 果たして、真のフォースに目覚める者は、誰か…?その行く末を今、世界は固唾を飲んで待っている。
 ──その時あなたは、新たなる伝説の目撃者となる。

スター・ウォーズ|STAR WARS|

新たなる伝説の始まり

 『スターウォーズ フォースの覚醒』を観てきました。ネタバレ込みの感想記事なのでご注意を。

 僕が初めてスターウォーズという作品に触れたのがおそらく幼稚園か小学校入学位の年齢で、確かEP1公開時の盛り上がりを肌で感じていた世代だったと記憶している。テレビの再放送で見てからハマりにハマり、マスタークワイ=ガンのライトセーバーを買ってもらったりもして、まだ小さいながらもあの世界観に惹きつけられていたのは間違いない。ニンテンドー64で出てた『帝国の影』とか『出撃!ローグ中隊』やポッドレーサーのゲームなんかも楽しんでいたし、そこからEP2が公開して、その後EP3が公開した。僕はこの時初めて劇場でスターウォーズを鑑賞する体験が出来たのだけれど、正直その十年後に、まさか最新作をこの目で観られる日が来るとは思っても見なかった。旧三部作に加えプリクエル三部作でアナキン、そしてルークの物語は閉じて、その後あの銀河がどうなるかだなんて、想像すれど現実に作品が作られるだなんて、つい先日まで現実的な話では無かったのだけど、いつの間にやら公開日が来てしまっていた。

あの日と変わらない感動が、そこにはあった。

 そんな事を思いながら、僕は胸の高鳴りを抑えながら劇場の席に座った。予告編*1が終わった瞬間「遠い昔、遥か彼方の銀河系で……」の青い文字が出た次の瞬間『STAR WARS』のタイトルロゴがバーン!と視界一杯に広がり、そしてメインテーマと共に今作のあらすじ*2が出てくるこの流れ。まさしく僕が初めてスター・ウォーズをテレビの再放送で見た頃、そして初めて劇場でEP3を見た時と全く同じ感動が、そこにはあった。内容の如何にせよ、スター・ウォーズという作品はあのタイトルとジョン・ウィリアムズのメインテーマの時点で百点あげられる作品なのだと言うのはひいき目過ぎるだろうか……そんな事を想わされる程に、僕の心は震えていた。

ジェダイ、シス、トルーパー、パイロット、そして歴史に名を残した登場人物達

 考察サイトや感想でも良く言われているが、振り返って見ると『フォースの覚醒』という物語はEP4の流れをなぞっているのは間違いない。砂漠に住む若者が、アストロメク・ドロイドと出会い、運命に翻弄されるままに宇宙への大冒険に出ることになり、そして自らの出生に関わる戦いに巻き込まれていく……というプロットは、EP7においても同じだ。だけれど違うのは、この物語は多くの登場人物の視点、ジェダイだけではない、さまざまな人々の場所から語られているということだと僕は感じた。 EP1〜EP6に至るまでは、登場人物が多けれど、基本的にはルークやアナキンの視点で一貫して物語が語られ、その中でレイアやハン・ソロダース・ベイダーの物語が次々と語られていき、物語が肉付けされていったように思えた。

 しかし今回のEP7では、のっけから多くの登場人物が物語を縦横無尽する。レジスタンスの拠点にてファースト・オーダーの襲撃に抵抗するエースパイロットであるポー、その彼が捕まった際、オーダーのやり方に疑問を抱いたストーム・トルーパーのフィン。フィンとポーの大脱出劇から今度は砂漠で誰かを待ちながら暮らすレイと出会い、そこからまさかのミレニアム・ファルコン号の登場。宇宙への冒険に出たと思ったら、ついに過去の英雄ハン・ソロと出会う。そして黒幕として暗躍するシスの暗黒卿、カイロ・レン……とのように、最初から多くの人物が各々の物語を生きている。主軸となっているのはフィンとレイではあるが、脇役と言いきってしまうには勿体ない過ぎる程の物語が登場人物ひとりひとり*3に与えられており、彼ら単独だけでスピンオフを製作出来る程の濃い味付けだったことが印象的だった。新しい登場人物は勿論のこと、ハン・ソロやレイアをはじめとした旧シリーズの登場人物も変わらない名役として登場しており、新キャラの役目を喰う事なく、それでいて強い存在感を示している絶妙なバランスだったことも、EP7の良い所だ。まぁ、何が言いたいかというと、旧三部作でルークが担っていた、人間としての成長やエースパイロットとしての活躍、ダークサイドへの誘惑やフォースの目覚めという役割を多くの人々に分散させていたんじゃないかと言う事で、まさに全体としての物語を底上げしているように思えた。最初から少しずつ登場人物が増えていき、最後の決戦で敵味方が縦横無尽する、この群像劇テイストこそ、まさにスター・ウォーズ作品の魅力である。
 

『フォースの覚醒(THE FORCE AWAKENS)』と言うタイトルの意味

 『フォースの覚醒(THE FORCE AWAKENS)』というタイトルが示すように、EP7と言う物語は主人公であるフィン、そしてレイ。この二人がかつて失われた力である「フォース」に触れ、冒険を通じてその才能に覚醒していく物語だというのは明らかだ。レイに関しては分かりやすく、今作では明らかに成らなかったものの、彼女がおそらくジェダイの血族であることは明白で*4最初は全くそういった素振りを見せないものの、ミレニアム・ファルコンを初搭乗で難なく乗りこなしオーダーのTIE・ファイターを振りきったり、また捕まった際もカイロ・レンのフォースに拮抗し、更に彼の精神に這入り込むまでの強さを見せた。拷問に耐えた所かトルーパーを精神操作し脱走*5、カイロ・レンとの一対一の戦いでも、最初は凄腕のカイロに圧倒されていたものの、フォースの流れを味方に付けると達人の如きライトセーバー捌きで*6彼を圧倒し、まさしくかつてのルークやアナキンのような強さで暗黒面の戦士を打ち倒すまでに成長した。成長性で言えば暗黒面の戦士をたった数日で倒すまでの実力を得たという意味で、アナキンやルークを超える才能の持ち主として、レイは『覚醒』したのかもしれない。

 フィンに関しては明確にフォースを感じるまでは行かなかったものの、戦闘経験が薄いにも関わらずTIE・ファイターやミレニアム・ファルコンのブラスターで次々と敵機を撃墜したりして、EP4のルークを彷彿とさせる活躍ぶりを見せていた。本来はオーダーのやり方に恐怖や疑問を抱く脱走兵のポジションで、当初はただ単にオーダーから逃げる事を考えていただけだったが、ポーやレイ、ソロやレジスタンスの各々と一緒に行動するうちに、正義の使命感に目覚めていく意味での「覚醒」かもしれないし、レイ程では無いもののライトセーバーを使用したりで、将来的にジェダイへの覚醒する可能性も十二分にある程に、高潔な精神の持ち主だと感じた。彼自身、自分の身もとや名前も分からないほどの幼少時にオーダーに誘拐されトルーパーとしての訓練を受けたと言う事でその出生にも謎があり、もしかしたらスカイウォーカーとは別に、フォースの強い家系の生まれなのかもしれない。そう言った意味でも続編で期待出来るキャラクターでもある。

ダース・ベイダーから、そしてカイロ・レンへ

 予告編から印象的だったシスの暗黒卿、カイロ・レン。マスクを被ったその姿はまさしくかつて銀河で最強を誇った暗黒卿であるダース・ベイダーを彷彿とさせ、十手型ライトセーバーと共に話題沸騰の存在だった。その正体に関して多くの憶測を呼んだが、実際作品内で明かされて見ると、やはりスカイウォーカーの血族であるとして、予想の範疇内ではあったもののかなり衝撃的だった。*7ベン・ソロと言う名前でルークに修行を受けたが暗黒面の誘惑に負けてしまった存在として描かれており、更にかつての存在であるダース・ベイダーに心酔しているという描写も印象的だ。ルークに修行を受けたが実際に影響を受けたのはアナキン・スカイウォーカーであり、更にダークサイドに居ながらも未だライトサイドの影響を受けており、その矛盾や自信の能力の足りなさに苦悩している存在として、絶対的な強さがあったベイダーとは違う、苦悩する人間らしさがあった。ミステリアスな存在であったベイダーとは違い、正体自体も早目に明かされるし*8、またベイダーを知っている僕ら視聴者側からしてみれば、絶対的な悪役ベイダー卿というより、善と悪の間で揺れ動くアナキン・スカイウォーカーを連想するのが近いのではないかと思う。甘いマスクを持ちながらも気性は荒く、自分自身に納得がいかない様子はEP3のアナキンを彷彿とさせ、彼がどのような人生を送ってきたのかを考えさせられてしまう。新たな世代を担うジェダイとして、英雄の血族として、弟子として。成長と才能を過剰に期待されていたそんな自分だったからこそ、アナキンに自己を投影し、ベイダーに憧れるようになっていったのかもしれない。そして暗黒面の誘惑を受けたのかもしれないと思うと、単なる悪役として片付けられないほどのキャラクターになってくる。ハン・ソロとの関係*9に関しても、またルークとベイダーという親子関係を意識しているのは間違いないだろう。とにかく、ダース・モールやドゥークー伯爵、ベイダーやシディアスと言った今までのシスとは全く違う「人間らしい」悪役が生まれたのは間違いない。ベイダーの如きダークサイドを突き進むとしても、アナキンのようなジェダイになるにしても、これからが楽しみな悪役が生まれてくれたのだ。

『新たなる希望』と『帝国の逆襲』を一緒に観たような感覚

 前述したように、導入部分は間違いなくEP4をなぞっているのだけど、とにかく過去作を意識させられる演出は非常に多かった。砂漠の惑星から始まり、帝国の戦艦から脱出、更に水と緑の惑星にレジスタンス基地があったり雪原での空中戦や惑星破壊兵器への潜入破壊と、EP4だけじゃなくEP5まで贅沢に盛り込んだようなゴージャスさがあった。僕は基本的に反乱軍の歩兵戦やX-ウイングを始めとした空中戦大好き人間なので、エンドアやホスの戦いを描いた『帝国の逆襲』がシリーズの中で一番好みだったこともあり、今回はそういった意味でも大満足だった。メカニックに関しても、例えば改良型のX-ウイングはレジスタンス仕様の落ち着いたカラーリングに、更にエース仕様というのが一発で分かる黒とオレンジ色のポー専用機などミリタリー面でもこだわり抜いた描写で、更にそれを駆るレジスタンスのパイロット達も、ポーを始めとして歴戦のエースだというのが分かる。物語としても、序盤でフィンと一緒に脱出したはずのポーが行方不明になり、死んだと思っていたらフィン達の危機にX-ウイング編隊で駆けつけ、撃墜王の名を欲しいままにするほどの活躍を魅せてくれた。勿論それだけでは無く、ミレニアム・ファルコンとTIE・ファイターのチェイスに加えてライトセーバーバトルも充実であり、不慣れだったレイが圧倒されるだけではなく、戦いの中でカイロ・レンに負けないほどに成長していくと言う事で、正直かなり燃える展開だった。それにも関わらず、旧三部作を見た時とは全く違い、現代の映画として新しい感覚で物語を捉えられるというのは凄い事だ。過去の映画の続編という位置づけながらも、全く新しい映画としても成り立っていると思うと、ふと懐かしさと新鮮さが同時に込み上げて来て、本当に不思議な気分に思えてくる。

ハン・ソロの死、そして新たなる物語の始まり

 正直、この物語で一番衝撃を受けたのがハン・ソロの死だった。*10ハリソン・フォードが再びスター・ウォーズに出演するというのが一番の盛り上がりだったし、更にレイアも揃うということで夫婦での共演、物語の途中からはカイロ・レンの父親だったということが判明し、まさにハン・ソロはもう一人の主人公と言っても過言ではないほどの重要人物だった。そんな彼がいとも簡単に殺されてしまったことに、僕は衝撃を受けたと共に、この物語が本当に前に歩み出していくのだということを、ひしひしと感じた。オリジナルキャストでは無く、新たな物語としてこれからレイやフィンが新たな歴史を背負っていくこと。かつて誰かを守る為に亡くなった高潔な戦士オビ=ワンやクワイ=ガン、そしてアナキンのように、ハン・ソロは若者達を救うために戦い、そして自分の責任を果たす為にカイロ・レンもとい、ベン・ソロに正面から向き合った。勿論、監督もシリーズの中でトップクラスに人気だったハン・ソロというキャラクターを殺すのには勇気と決断があっただろう。しかしそれは、ルーカス三部作からの決別を含め、作品やキャスト共々、新たなるスターウォーズ・サーガを生み出す為に、必要だったことなのかもしれない。

そして、エピソード8へ。

 R2D2とBB8が持っていた地図を合わせると、失踪したルーク・スカイウォーカーの居場所が遂に分かった。昏睡するフィンに別れを告げ、大切な友人を失ったチューバッカと共に、ミレニアム・ファルコンを駆りルークの元に向かうレイ。緑と水の惑星に向かうと、そこにはフードを被った壮年の男性が。そう、彼こそかつて銀河を救った英雄、ルーク・スカイウォーカーその人なのだ――と言う一番物語が面白くなりそうな所で、EP7は幕を閉じる。おそらくはかつてのヨーダの役割をルークが担い、マスターとしてレイを修行する流れになるのだと思うのだが、ここから先は全く予想が付かない。レイ自身の血統の秘密や、かつてのカイロ・レンのようにレイが暗黒面に誘われる流れにもなりそうだし、昏睡状態のフィンが目を覚ましたら一体どうなるのか、そして敗北を喫したカイロ・レンが再び敵として立ちはだかるのか、それとも新たなる脅威が現れるのか……と思うと、今から心のワクワクが鳴りやまない。しかし、新三部作の一作目でこの素晴らしさなのだ。今はEP7の余韻を胸に置きながら、僕らはただ、フォースに身をゆだねるだけでいい。

「“May the Force be with you.”(フォースと共にあらんことを)」

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本当にこいつらがカッコ良かったんで欲しいんですよ……誰か買ってください(媚)
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*1:吹き替えで観たのだけど、全く演技に安心できるキャストで芸能人テロとかなくてほっとした。ちなみにルフィも出なかった

*2:正直「ルーク・スカイウォーカーが失踪した」という一言で始まるあらすじの時点で勝ちだと思う。あれほど活躍した英雄が消えたというのに「えっ、何で!?」と不覚にもワクワクさせられてしまった。

*3:個人的にはトルーパー指揮官のキャプテン・ファズマが好き。あのくっ殺姫騎士感は大事にしてあげたい。シリーズ初の女トルーパーで有能なはずなのにポンコツなのもかわいい。やはりポンコツはトルーパーの系譜なのか

*4:カイロ・レンに拮抗し、打ち倒す程のフォースを覚醒させた才能から、スカイウォーカーの血族であることは間違いないだろう。ルークの娘、もしくはカイロ・レンの姉か妹、つまりソロ家の娘なのではないか。旧三部作を意識しているならばソロ家の双子で、カイロ・レンが彼女の家族と明かすシーンがあるかもしれない

*5:どうやらここで精神操作されたトルーパーの中身は007で有名なダニエル・クレイグだったらしい。あまりにポンコツなので全然わからなかった。

*6:このライトセーバーはかつてアナキンが使っていたもので、ルークがオビ・ワンから貰い、デス・スターで落としたものだが、一体どこで回収されていたのだろうか。それも気になる

*7:続編的位置づけの小説版においてはルークの息子ベン・スカイウォーカーやハン・ソロとレイアの間に双子がいたとして、もしかしたらそれを意識しての話だったのかもしれない。だとすれば尚更カイロ・レンとレイの双子説が極まってくるのだが

*8:正直正体を早めに明かしたのは英断だと思う。大体この時代のジェダイと言えばスカイウォーカーの血族だし、それを引っ張ってもファンには見透かされてしまうだろうし

*9:暗黒面に堕ちるのを防ぐ為にルークに修行を任せたと言っていたが、スリルを求めて密輸業に復帰していたハン・ソロを思うにやはり子育てに関してもレイアやルークに任せきりな人間だったのだと思う。父親として不適合そうなのは旧三部作を見ていても思ったが、だからこそ最後に丸腰で、父親としてベンに向き合おうとしたのだろう。もっとも、それが遅すぎたのだが。

*10:とりあえず、高い所から落ちたというのはルークのように生存フラグかもしれないが、ライトセーバー突き刺さってるし、惑星爆発してるし、ねえ

「戦車道には人生の大切なものが詰まっているんだよ」 『ガールズ&パンツァー 劇場版』感想

ガールズ&パンツァー 劇場版 オリジナルサウンドトラック

ガールズ&パンツァー 劇場版 オリジナルサウンドトラック

第63回戦車道全国大会で優勝を飾った大洗女子学園。平穏な日常が戻ってきたと思っていたある日、大洗でエキシビジョンマッチが開催されることになる。いまやすっかり町の人気者になった大洗女子戦車道チームには熱い視線が注がれるが……。

ガールズ&パンツァー 劇場版 : 作品情報 - 映画.com

本編を極上にスケールアップしたボリューム

 『ガールズ&パンツァー 劇場版』を見てきました。

 本編に凄くハマった後に劇場公開が決まってからずっと楽しみにしていて、延期など諸々の不安要素もあったかれど、端的に言って、その全ての不安要素を冒頭数分で吹き飛ばすほどの大傑作だと言う事を確信出来るほどの作品だった。テレビ版では元々日常系美少女アニメのように「萌え」を推したようなキャラクターが、硬派かつ無骨な戦車を操縦し熾烈なバトルを繰り広げると言うギャップが一話の開始冒頭から盛り込まれていて、僕の場合はまずそこでガルパンという作品に首ねっこを掴まれたのだけど、劇場版も同様、劇場の席に座って数分と経たずに、戦車同士が爆走するキャタピラ音と砲撃音、砲弾が耳を掠める風の音に、着弾後の爆発など完全に、この作品の空気に呑まれていた。公開して間もなくから「ガルパン劇場版は実質『マッドマックス 怒りのデス・ロード』*1だった……」とかいう一見わけわからん感想が溢れていたのだけど、本当に最初から最後まで戦車が走って撃って撃破されて後飛んで(!?)の繰り返しだったので、とにかく観ていてダレる場面が一切も無いあたりまさに怒りのデスロードだった。平地戦から山岳部、森林地帯の戦いから市街地戦にシフトして行けば、今度は大洗の聖地の中を縫うように闘う戦車たち。テレビ版よりも多くの協賛を得ているのか、名前入りの有名なホテルや病院、水族館やショッピングモールなど、まさに大洗の全てがバトルフィールドとなるほどのボリュームで、開始数分から手に汗握りっぱなしだった。というかいくら戦車道での損害は助成金が出るとはいえ、派手にブッ壊れ過ぎだろ!と頭の中で突っ込みたくなるくらいの派手な破壊描写や、どう考えても危険な廃墟での戦いなど*2、本当徹底的にロケーションに拘った戦い方で、閉所でのCQBや高所からの偵察など、通常の戦争映画では見られないまさに「戦車道」ならではのイレギュラーな戦車戦が見られて楽しかった。

ベタなくらいにベタな内容。だがそれがいい

 正直に言って、ドラマ性としては本編の焼き直しというか、繰り返しと言っても過言ではない。本編で大洗女子学園廃校の危機を救ったみほ達の努力空しく、公権力の横暴で無かったことになり、また廃校の危機に直面するという物語は完全に本編の繰り返しだし、そこで強豪を打倒さなければならないのもまた本編らしい、というかむしろこのジャイアントキリングこそが『ガルパン』の魅力である。ただ、テレビ版と劇場版で全く違うところがひとつある。今回の大洗女子学園高校というのは、並み居る強敵を打ち倒し、晴れて戦車道全国大会優勝校に輝いたという「実績」があるという所だ。その学校が栄光むなしく廃校になるということは、一体どういう事だろう、ひいてはそれは、戦車道自体の衰退に繋がるとして、かつて彼女らと関わった全てのものたちが、大洗の為に立ちあがるというベッタベタな熱さがある。それがとてもいい。プラウダ、聖グロリアーナ、サンダース、そして黒森峰……かつて大洗と戦い、しのぎを削った強敵が馳せ参じる熱さだけでなく、戦車道のプライドを守るものとして、戦車道連盟並びに西住家までもが大洗女子学園の為にひと肌脱ぐ*3という、まさにオールスター感溢れる内容が、もう闘う前から出来上がっていた訳だ。

西住流VS島田流の戦い

 今回の新キャラである島田愛里寿は、何処か西住みほと類似したキャラクターのように思えた。普段はかわいいものが大好きな年頃の少女*4にも関わらず、戦車道においては砲弾掠める戦場の中でも顔色ひとつ変えない冷静沈着な指揮官*5として振る舞うその姿はまさしく、名門家系を継ぐものとしての振る舞いを心得ているものとしてみほと対峙するキャラクターに相応しい存在だった。*6ただ今回の場合、幾ら名門同士の戦いと言っても、そこにしがらみなど一切存在しない。みほ達大洗女学園側には背負うものがあれど、大学強化指定選手の彼女らには背負うものなど一切無いのだ。あるとすれば強化指定選手としてのプライドだけ。それでも容赦なく大洗を叩き潰そうと迎え撃つその姿勢は、戦車道において一切手加減は無用という、彼女たち自身の戦車道における純粋な姿勢なのかもしれないと個人的には思った。そもそも、戦車道において、勝ち負けは重要な話ではない。武道という側面もある以上、なにより重要なのは勝敗より礼節を尊ぶその精神性だ。勝負にこだわるあのカチューシャでさえも、負けと言う結果を引きずらず、みほ達を勝者と認め今回味方として協力していたし、そういった個人的な感情に拘らず、純粋な勝負が出来る場として戦車道が描かれていた。そう、あの試合は大洗の運命を決める戦いであると同時に、純粋無垢な少女同士の戦車道だったのだ。だからこそお互い、遠慮もいらずに本気になれた。

西住まほシスコン過ぎ問題

 テレビ版で対立という結果になってしまった二人だが、今回劇場版ではものすごく仲良しな姉妹として描かれていたのでびっくりしたのだけど、よくよく考えてみるとテレビ版でも決して仲は悪くなかったよな……と思い直す。そもそも、みほが黒森峰を去った理由が戦車道中の事故によるもので、姉妹同士の確執というよりかは母親との確執の間にまほが挟まれてしまい、本心では妹を想っているものの、家系の名を継ぐものとして毅然と振る舞わなければならなかったので、本編では対立するライバルとして在ったのかなと思う。だからこそみほが実家に帰った時なんか憑きものが取れたような白ワンピで現れた時は「なんだこの破壊力は……」ってなってしまった。*7元々幼い頃から姉妹は大の仲良しで、お互いふたりで戦車に乗るくらい*8一緒にいたという事で、やっぱり家柄を除けば普通の家庭だったんだなという事が実感出来て安心した。というか黒森峰が味方に参戦した後でも、他校の皆が個性溢れる意見出しまくる中でも「隊長(みほ)の意見を聞こう」「隊長はどう思う」「隊長に従おう」とかなんかやたらと涼しい顔でみほを推しまくる辺り、本編以上にシスコン度が加速してて面白かった。黒森峰を離れて、そこから大洗で敵味方に分かれてしまって、今度こそ一緒にチームメイトとして戦車道が出来るっていうのが何よりうれしかったんだろうなというのがよく分かるし、何よりそこからのコンビネーションプレイが熱い。最初はお互い別部隊の司令塔として戦うが、後半敵味方が少なくなると合流、最後にはツーマンセル戦法として俊敏に動きまわる愛里寿の戦車に追随し、最後にはコンビネーション・アタックで勝機を手にした所なんか特に熱かったし、言葉を交わさなくとも分かる絆があったからこそ出来た連携だったんじゃないかなと思うと更に滾る決戦だった。

「戦車道には人生の大切なものが詰まっているんだよ」

 やたらと名言っぽい言葉を吐きまくるので知らない所でスピンオフの主役でも張っているかと思いきやただの新キャラだった継続高校の皆さんに突撃吶喊大好き知波単高校の皆さん。新キャラ*9に加え既存のキャラクターも相変わらずながら、些細な成長が見られたのが良かった。運転技術の向上に装填技術、状況分析能力に射撃技術、大洗だけとっても、まさしくみほの指揮だけでは無い、彼女が指揮するに値するぐらいプロフェッショナルな粋に突入しているのが見られて良かったし、そんな彼女達に感化させられて突撃脳だった知波単高校が戦術的な動きを覚えて初撃破まで持って行けたのには嬉しさを感じた。こういう戦いの中で少女たちが少しずつ成長していくのもガルパンだと思うし、劇場版と言う二時間程度の時間でそれが表現されていたのは素晴らしかった。やはり戦車道には人生の大切なものが詰まっている。

続編があるとしたら

 どうやら水島監督は続編に意欲的な感じらしく、万策尽きない程度にまだまだガルパンは続いて欲しい限り。今回、文部科学省の役人が二年後に開催される戦車道世界大会の話を示唆していたので、後はオリンピックの話とかも絡めてやっていけば、例えばみほやまほが日本代表に選出される世界大会とかも観られるかもしれないと、凄くワクワクする。他にもみほが黒森峰に居た時代の話とか、他の高校の話のスピンオフとか、まだまだ個人的にはコミカライズなどは追い切れてないけれど、ガルパンという作品が続くのならば、末永く彼女達の物語を追っていきたいと、そう素直に思える劇場版だった。ガルパンに関わった全てのスタッフ、そして大洗の皆様がた全てに感謝したい。そんな素晴らしい作品をありがとうございました。

パンツァー・フォー!

*1:特に戦車がジャンプして自走砲を破壊する辺り完全にウォーボーイズで、心の中のニュークスが「よく死んだ!」と叫んでいた気がする

*2:今回ばかりは爆発とか崩落とか倒壊とか戦車内の安全だけじゃどうしようもなさそうな事故が起きそうな予感がするけれど、この辺り戦車道的な安全管理はどうしているのだろうか。ツッこんではいけないお約束なのだろうか

*3:結局、西住母はまだみほの事を認めてはいないのだろうけど、大洗女子学園が西住流の指揮で勝利したという結果だけは認めているんじゃないかと思った。その結果が汚されてしまうということは、西住家の名前に傷が付くと言う事。断じてそれは許されない。

*4:最後の一騎打ちの時にクマ型ロボットが通り過ぎた所で、ふたりとも気を取られてしまったという部分が、二人とも戦車を度外視すれば年相応の少女だという事を表現していると同時に、島田愛里寿と西住みほが本質的に似た存在であることを示唆しているように思えた。

*5:愛里寿も凄いけど、いきなり今までのライバルを仲間として率いて尚且つ勝利にまで導いて涼しい顔しているみぽりんは、やはり何処か常人とは違う部分がある。衛宮切嗣的な、感情と理性を切り離して考えられる存在なのだろうか

*6:もっとも彼女の場合、母とは良好な関係のようだが

*7:普段黒森峰の真っ黒な制服着てるっていうのもあったけど、あの夏の日感やばいですよ

*8:どうやら田舎での移動はトラックではなく戦車が常識らしい。

*9:個人的にはローズヒップさんがお気にいりです。なんというか、おしとやかなのに性格悪いのが素敵。あとアイマス声優だし