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402号室の鏡像

あるいはその裏側

【告知】5/20(土)開催ISF3にて頒布予定の「七尾百合子カップリングSSアンソロジー『百合の百束』」に短編『涙の跡が乾く前に』を寄稿させて頂きました。

 告知です。

 主筆のサカミネさんにお誘い頂きまして、2017年5月20日に開催される「IDOL STAR FESTIV@L 03」にて頒布予定の「七尾百合子カップリングSSアンソロジー『百合の百束』」に、短編『涙の跡が乾く前に』を寄稿させて頂きました。

 アイドルとして活躍し始めてしばらくした七尾百合子が、何処か満足出来ない日常に鬱屈してしまい、その胸中を音無小鳥に吐露する短編です。

 冒頭4ページをサンプルとして公開させて頂きます。
www.pixiv.net

ISF2お疲れ様でした。お礼の代わりに

 ISF2参加された方々、サークル参加者一般参加者の皆様お疲れ様でした。僕自身は不参加だったのですが、ツイッターで観ていた様子からは大盛況の様子が見られて嬉しかったです。しかも、当サークルの本が完売という報告を聞いて驚きました。まさか自分の書いた本が完売するなど思ってもみなかったので、多くの人に物語を届けられたことに嬉しさを感じる反面、逆に若干の不安に苛まれたりもしています。ともかく、嬉しい気持ちのほうが勝っているのでその辺りは素直に感謝の気持ちを述べたいと思います。皆様本当にありがとうございました。*1

 大正浪漫×ミステリという、二次創作とは言え今まで全く書いた事の無い、そもそも興味も薄いジャンルのお話だった為、かみやさんからお話を聞いた時には書けるかどうか不安で、実際書いている途中も本当に面白いのかとか、色々四苦八苦しながら書き進めていたので、そう多くも無い分量の割にはかなり苦労して書き上げました。しかし自分自身、全く埒外のジャンルに挑戦して書き上げたこと、出来はともかくある程度の物語として成立させられたことに関しては確かな達成感を覚えています。勿論二次創作ですので『アイドルマスター ミリオンライブ』という物語、もとい七尾百合子を初めとしたキャラクターたちの助けが無ければ書けなかった物語なので、そのことはしっかり心に留めておきたいと思っています。あとは手にとって頂けた読者の方からどういった感想を頂けるのか、不安でありながらも楽しみにしています。

 自分自身の本分は一次創作で、あくまでオリジナル作品を完成させることに注力したいなと思っていますが、二次創作や同人活動も出来るだけ頑張っていきたいと考えています。創作に関しては色々と行き詰まることばかりで、悩むことも多いのですが、凝り固まった精神に風を通す意味合いで、さまざまな作風にも挑戦したいので、その辺り同人活動は自分が成長するのに良い土壌なのかもしれないなと感じています。とにかく、書いていく。色々理論立てとか口先とか、創作論とかを言いわけにする前に、とにかく自分の思ったことを様々な形で創作として出力していく。それがここ最近で学んだ一番の創作哲学なので、一次創作も二次創作も頑張っていきたいです。おそらくまだまだアイドルマスターやミリオンライブの二次創作も書くとは思うので、その際は是非ともよろしくお願いします。

 

*1:残念ながら買えなかった人や、地方にお住まいの方の為に、電子版の販売も検討していますので、お待ち頂ければ幸いです。

【告知】11/3(木)ISF2参加予定。アイドルマスターミリオンライブ小説本『大正文学少女奇譚』頒布します。

 告知です。11/3(木)に開催される「IDOL STAR FESTIV@L 02」にてアイドルマスターミリオンライブ小説本『大正文学少女奇譚』頒布します。表紙絵、挿絵はかみやさん(@kamiya_oekaki )、本文は僕が担当しています。価格は六百円を予定、サークル名『時計草』にてスペースはC24ですので、参加される方は是非ともお立ち寄り下さいませ。サンプルはこちらになります。
www.pixiv.net

 内容としては、大正時代を舞台にとある青年と七尾百合子が、帝都の日常に潜む奇妙な事件を解決していく大正浪漫風ライトミステリです。そもそも、僕はかみやさんの本にちょっとした文章を寄稿する予定での参加予定だったのですがいつの間にか全く書いた事の無いミステリやら大正浪漫を担当する羽目になり、気がつけば三万字超書かされていたと言う奇妙な経緯。何かがおかしい。それはさておき、初めてのジャンルの割にはなかなか良い作品に仕上がったのでは無いかとは思っているので、是非お手にとって見てはいかがでしょう。ちなみに全年齢対象の作品なので、帝国陸軍軍部の陰謀とか帝都地下に張り巡らされた呪術式とか、超伝奇じみたそういうのは無い。本当はそういうのを書きたかった。

 暴力衝動を抑えながらよいこのためのこころあたたまる小説を書いたので、一次創作のほうにこの鬱憤を晴らそう!

絶望的な籠城戦 『13時間 ベンガジの秘密の兵士』(原題:13hours)感想

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トランスフォーマー」シリーズなどのヒットメーカー、マイケル・ベイ監督が、2012年にリビアで発生したイスラム過激派によるアメリカ領事館襲撃事件を映画化したアクションドラマ。事件を取材したジャーナリストのミッチェル・ザッコフによるノンフィクションをもとに、支援を絶たれた6人のCIA警備兵が繰り広げる13時間の激闘を臨場感たっぷりに描き出す。12年9月11日、リビア港湾都市ベンガジにあるアメリカ領事館が、イスラム過激派の武装集団に占拠された。領事館のほど近くにあるCIAの拠点アネックスは救援要請を傍受するが、アネックスの存在自体が極秘であるため手を出すことができない。アネックスに派遣されていた軍事組織GRSの6人の警備兵たちも待機命令を受けるが、領事館を取り巻く状況が緊迫していくのを見過ごすことができず、任意で救援活動に乗り出す。

13時間 ベンガジの秘密の兵士 : 作品情報 - 映画.com

息着かせぬ180分間

 『13時間 ベンガジの秘密の兵士』(原題:13hours)を観た。結構前から海外では公開されていて、予告編がすごく面白そうだったので期待していたのだけど正直劇場で観たくなるくらいの大傑作だった。

 元々、マイケル・ベイ監督の作品は大好きで『バットボーイズ2バッド』や『トランスフォーマー2』なんかは特に好きなので、今回も同じように期待していたのだけど、ベイ監督の持ち味である爆発や銃撃戦、カーチェイスなどによる派手な絵作りは特折りうるさく感じてしまう場合もあって、前作『トランスフォーマー ロストエイジ』に関しては一層しつこく感じてしまったのでこの作品がどうなるかが少し不安なところもあった。しかし『13時間』は実際に事件を元にしているということもあって、同じく現実に起きた殺人事件を映画化した『ペイン&ゲイン』が巧く纏まっていて、なおかつマイケル・ベイ的な派手さで脚色されていたので、この作品も良い意味で現実と監督なりの演出が化学反応を起こしてくれればなという期待をしていた。

 結果的には最高だった。非正規活動を行っているCIA部隊を護る為に契約された兵士たちゆえに、容易に支援が出せないという絶望感の中、迫り来る敵達を、たった六人で守り切るという一対多数戦闘の怖さ。ただそれだけで無く、合間合間に兵士達の家族模様など人間らしい感情の描写があるのがいい。ただずっと戦っているだけで無く、戦いが中断した合間合間に会話の中で兵士たちが家族を想う描写があると、より戦いの壮絶さに悲壮感が増してくる。例えば、正規戦ならばすぐに無人機や戦闘機が飛んできて、大量の敵も一気に片付けてしまえるけど、今回の場合、CIA職員含めた兵士たちは「いないもの」扱いで、彼らに対して容易に救援行為を行うことは出来ない。それでも目の前の敵は容赦なく銃弾を浴びせてきて、すがる希望もないままに、たった六人が数百の敵と戦い続ける。それでもただ怖いとか恐ろしいとかそういう訳でもなく、マイケル・ベイの映画らしく爆破やカーチェイスなど疾走感溢れる描写が盛りだくさんだった。例えば敵がRPGを構えた瞬間に狙撃が命中、倒れた敵のRPGが地面に直撃し辺りが爆発したり、はたまたバスに乗せられた巨大爆弾を捕捉し、一斉射撃で誘爆させたりと、単なる籠城戦にとどまらない派手さがあって、画面から伝わるインパクトも十二分にあった。夜間の戦闘ということで立ち上る火柱や交錯する火線などの光も美しくて、そういった意味でも見応えがある映画で180分程度ある結構長めの映画だったのに、ほとんど間延びした感覚を覚えず、ただ見入っていた。

敵をゾンビとして描いていないのがいい

 似たような一対多数の戦闘を描いた戦争映画だと『ブラックホーク・ダウン』が非常に名作なのだけど、あれは現地のソマリア人をあたかもゾンビであるような恐怖対象として描いていた節があって、その点批判されていた。この作品も確かにそういう場面があったのだけど、最後の最後、戦いが終わった後残された死体の周りに、その妻や子供であるだろう人たちがどんどん集まってきて、涙を流している描写がすごく印象的に描かれていた。アメリカ人を殺す為に一方的に襲いかかった現地人たちは確かに野蛮そのものではあったものの、彼らも彼らなりの正義に基づいていて戦っていたのだということを知ると、単なる勧善懲悪で終わらないしがらみがあったということに気付いて、まさしく実話を元にした映画だということを思い出させてくれた。

ミリタリー好きならなおさら必見

 マイケル・ベイの映画恒例、ミリタリー描写にもなかなか凝っている様子で、僕の好きなSalient arms international社の銃が目立って出てきたのが良かった。
 
・AR15系列のGRYカスタム
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・Salient armsのカスタムグロック
f:id:lilith2nd:20160920003726j:plain

いかにも非正規部隊って感じの、普段着の上にプレートキャリアを羽織るだけのセットアップが超格好いいので、その点ミリタリーが好きな人には堪らない映画だと思う。『ブラックホーク・ダウン』『ローン・サバイバー』や『プライベート・ライアン』が好きな人は絶対ハマると思うので、その点は是非。

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映画の余韻がより一層深まる 小説版『君の名は。』『君の名は。 Another Side:Earthbound』感想。

映画を楽しめた人には両方おすすめ

君の名は。』『君の名は。 Another Side:Earthbound』を読みました。両方とも良かったんですけど、特に『Another Side:Earthbound』の方は映画であまり説明されていなかったことが事細かに補完されていて、自分が映画に対して抱いていた不満が大部分解消されたので、映画にもやもやを抱えている人は是非読んでみてほしいです。ネタバレはしないので興味を持った方は是非に。

忠実なノベライズながら、色々気づけた部分もある。

 前者は新海誠自身が映画に忠実にノベライズをしたと言う印象で、特に映画と違った様子や描写は無かったのだけれど、映画では分かりづらかった入れ替わりの時系列がすごく分かり易くなっているし、地の文にある心理描写が入れ替わり自体のおかしさや、思春期らしい恥ずかしさと好奇心が混ざり合うような感情がよくわかるので映画にハマった人なら復習の意味を込めて、是非読んでみると良いと思う。僕個人としては映画で何の気にも止めていなかった冒頭のシーンにあんな深い意味があるのか!と気付いてからは、最初からページをめくる手が止まらなかった。これを読んだ上でもう一度見に行くとかなり楽しめるんじゃないかなと思う。

原作を補完するサイドストーリー

 『Another Side:Earthbound』のほうは、原作では描かれなかった物語が四つの短編から構成されていて、ひとつが「三葉の体の中に入った瀧の視点」で、二つ目が「テッシーこと勅使河原の視点」、三つ目が「三葉の妹である四葉の視点」で、最後が「宮水としきこと、三葉の父親の視点から描かれていた。そのどれもが原作では分からなかった、別視点での描写などが書いてあって面白かった。例えば、女子の体の中に入る羽目になってしまった瀧がやたら冷静に三葉の体や女子的な部分を観察していたりだとか、ブラジャーに関して細かく考察を重ねていたりだとか端から見れば笑える感じの物語があったと思えば、建築業を営む実家に嫌気が刺していながらも、決して後ろ向きにはならないテッシーの考えなどが書いてあったり、他にも、急におかしくなってしまった姉に対し困惑しながらも、自分にも怪奇現象が降りかかった三葉の話など、読めば読むほど『君の名は。』が綿密な世界観とキャラクター描写で出来ていることが分かってきて、より一層キャラに愛着が持ててくる。

原作で描かれなかった、宮水の家の真相

 映画では三葉とその父である俊樹がどうして不仲なのかはあまり説明されず、三葉の母である二葉との死別が原因だろうということしか推察は出来なかった。だからこそ、どうして三葉が最後の最後にお父さんを説得して動かせたのか分からなかったのだけど、その辺りが丸っと補完されていて驚いた。元々、宮水の家になぜ、俊樹が婿入りしてきたのだとか、どうして宮水の家と俊樹が疎遠になってしまったのかとか、そもそも宮水の巫女とは一体なんなのか?と言う所が全然分からなかったのだけど、それら全ては宮水の血筋に原因があって、そもそも彼の妻であり、三葉や四葉の母である、二葉の存在自体に、全て集約されていた。そこに気付いた時には、二葉とお父さんが対面した時のとらえ方が全然違うことが分かって、多分もう一度本編を見返した時には全く違う受け取り方をするだろうなという感動があった。二葉の死をきっかけに、元々民俗学者だった俊樹が政治を志すようになり、市長として町の改革に携わろうとしている理由までしっくりきて、ただの頑固ものじゃない、ひとりの男性だということに気付いて、彼もまた大きな流れに翻弄された一人なのだという、淡い悲しさがあった。

とにかくAnother Sideは必読

 ノベライズの方は、まぁ後でも良いとしてもAnother Sideのほうはもはやこれ含めて本編だと思うくらいに良いので是非読んでみて欲しい。これを読むと読まないとじゃ前にも言ったように不明点やもやもやが解消されているし、何というかこれ含めて本編の伏線回収という感じなので、劇場で映画を観た後は是非、手に取ってみて欲しい。

Another sideを執筆した加納新太さんは『秒速5センチメートル』のサイドストーリーで、明里視点など違った切り口の作品を執筆しているので、これも凄くお勧めです。これもまた、読んだ上で本編を鑑賞すると違った解釈を得られて楽しい。